第107作めのソロアルバム、その名も、"Quassatio"。
"Quassatio"とは、ラテン語で"激しく何度も振る、揺らすこと"を意味します。
『複雑で微細な構造によるリズムのUltra-structure(超微細形態)において、原始と近未来が連結する時、儀式的な、
呪術装置としてプレクティクス・パルスが現出する。それは肉体のみならず、霊体をも、激しく揺さぶることだろう。』(JINMO)
JINMOによるギター・オーケストレーション作品。
アルバム"Miryam"、"Fetishia"、"tar"などもそうでしたが、一般的な西洋音楽起源のリズムとはまったく異なるところから発せられた、複雑で緻密で多層構造のリズム音楽です。
狂熱的な原始呪術音楽のようであると同時に、めちゃくちゃ未来的なサイバー・テクノのようでもあります。
生々しさ、力強さ、繊細さ、その音色のエロティックさと共に、強弱の表現と、左右に飛び交うパンニングの表現。
それら表現要素の幅の広さが、たいへん魅力的です。
"クォークの父"と呼ばれ、ノーベル物理学賞を受賞したマレー・ゲルマン博士は、複雑系研究で有名なサンタフェ研究所のひとりでもありますが、彼が自身の研究テーマの概念を表した言葉が"プレクティクス(Plectics)"です。
これは"単純さ"と"複雑さ"を意味する二つのラテン語を合成した造語です。
JINMOの言うところの"プレクティクス・パルス"とは、ゲルマン博士の概念を受け、"単純さ"と"複雑さ"が相反するものではなく、音楽的な時間認識に於いて未分化に存在するのだという律動表現であると考えられ、それは周期的反復を前提とした人造的な"リズム"ではなく、より奔放な"パルス"であるという考えも同時に示しています。
さぁ、このギター・オーケストレーションによるプレクティクス・パルスに、身も心も踊らせ、
総てを『激しく揺さぶり』、お楽しみください!