JINMO情報・号外(無眼球室)

先日、2001年9月8日、港区某所にて、JINMOが初めてギターをまったく使用しない演奏会、“眼球室”が実行されました。無数の眼球画と、無数のジョルジュ・バタイユの肖像に取り囲まれ、ほとんど明かりの無い小さな閉鎖空間に、完全限定の10名だけが体験できる新しいサロン・コンサートの創出。この空間についてJINMOはこのように語りました。
『非日常性を感覚しようと、人はホールやライブハウスに足を運ぶ。しかし、ホールやライブハウスで演奏会が行われるのは、至極当たり前の事で、ストリップ小屋にヌードを見に行くようなものだ。本当の興奮は非日常的な出来事が、自らの日常性、衣食住、アイデンティティ、個人的感覚などを侵食しようとしていると実感した時に生じる。ストリップ小屋の全裸よりも、葬儀会場での未亡人の襟足の方がショッキングなのだ。テレビで見る大イリュージョンよりも、ふとした拍子に知人がみせる眼前のテーブル・マジックの方が破壊的なのだ。眼球室はこの意義において、ホールやライブハウスで得られるものの対極的感覚を、この空間に一歩、踏み込んだ時から与えてくれる。私も含めて集うものは統べて、この空間を用意してくれた mistress M に感謝せねばならない。/JINMO』

JINMOは2台のコンピュータとミキサーを使い、この日、途切れる事のない約1時間40分の演奏を行いました。その音は今まで発表されてきた“コントル・アタック・アルファ”“コントル・アタック・ベータ”“アルス・ノヴァ・ジンモニア vol.1”等で聴かれたシーケンスものではなく、意外にも“ひばりがおか”に近いニュアンスを持ったものでした。いうなれば“サイバー・ヒバリガオカ”というべき内容です。予め、このように音が鳴るようにと用意しておくようなシーケンス・ソフトは一切使用せず、JINMOは総ての音をギターを演奏するように、まさにコンピュータを演奏したのです。
『この日、2台のコンピュータで使用したソフトウェアは十数種類に及ぶが、主になったのは“Metasynth”と“MAX/MSP”、それに懐かしい“M”だ(奇しくも、すべてMを頭文字としている)。12平均律ではなく、周波数単位コントロールでの“完全純正率”とフラクタル・グルーブの実践。最大時で20層に重ねられた“自然倍音”の激流。可聴域の総べてを充たす、20Hzから20.000Hzの正弦波のスウィープ。そして、不特定多数の前では、今まで決して公開する事のできなかった“激ヤバ・サンプリング・ネタ”の大量使用。現在、世界で最も刺激的でヤバヤバな音響実験的“サロン・コンサート”の創出が実現できた。この夜の演奏会の事が永く、深く、拭い難い記憶として、参加者の心に残れば幸いだ。もし、生きていたならバタイユこそ、喜んでくれただろうと思う。皆さんの御陰と、感謝している。/JINMO』

具体的な説明はできませんが、非常に刺激的なサンプリングが使われ、参加者は一様に驚いていました。それらはJINMOの言葉通り、自然倍音の激流によって、参加者の心になだれ込んでいったかのようです。

そして、、、。

さて、好評につき、この眼球室の続編とでもいうべき、さらに過激な演奏会【無眼球室・The Room Without Eyes】が企画されましたので、ここに御案内いたします。

無眼球室----------The Room Without Eyes
演奏--------------JINMO
入室開始----------2001.10.06.19:30
発音開始----------2001.10.06.20:00
入室料------------3000円
完全入場者数制限---10名様限り(完全予約制)
          なお未成年者は参加できません。
会場--------------港区某所(予約完了者にのみ通達)にて。
概要--------------参加者は全員、目隠しによって視覚を奪われる。さらに、その手足を完全に拘束されて、身動きができない状態で横になる。かくして、そこにJINMOの演奏が繰り広げられ、参加者はその生涯で初めての“純粋聴覚体験”に身を曝す事になる。聴覚のみが、嫌が応でも鋭敏に世界へと開いていく体験。その果てに、無眼球室に現れるのは、いかなる風景なのか。純粋なる歓喜の音世界を、奪われた視覚で目撃せよ。

ワクワクですね。マニア必見。逃すと2度と無いこの企画。わずか10人だけが体験できる“純粋聴覚体験”。

さてさて、御予約はメールのみによる受け付けです。

前回“眼球室”の時には、先着順で10名様を御案内いたしました。今回は2001年9月30日23時59分を締め切り時とし、それまでの総べての御申し込み者の中から、抽選で10名様を御案内する事になりました。なお未成年者、及び心臓疾患、閉所恐怖症等の方は御遠慮ください。

私、岸本もオシャレして参ります。それでは“無眼球室”で御会いしましょう。

DNA音楽研究所:岸本はり